白の藁灰釉と黒の鉄釉が掛け分けられ、あるいはまた、その2つの釉薬が入り乱れるように施される「朝鮮唐津」は、
古唐津の中でも陶工たちの技量が存分に発揮された、最も目を引く焼き物でした。
朝鮮唐津を作るにあたって、1番難しいのが焼成です。白の藁灰釉と黒の鉄釉では溶ける融点が異なるため、焼成の温度が足りなければ藁灰釉は流れず、と言って温度が高すぎると藁灰釉が鉄釉にかぶってしまい、思い通りに釉薬を流すのが非常に難しいと言われます。
しかしながら掛け分けた時の黒、白の意匠は素晴らしく、その境界に生まれる青や紫、黄色などの微妙な景色も作家の腕の見せ所となります。
自然坊窯の朝鮮唐津は数多くある唐津焼きの中でも、激しい躍動感と豊かな色彩に富んでおり、どんな場面においてもすぐに目を引かれることと存じます。
それは粗目で鉄分が多い自家製粘土が釉薬との相性により発色と質感を豊かにし、釉薬の美しさはもちろんのこと、その上からでも豪快な土味をみることができるからです。
但しそれゆえに、一枚一枚に個体差が生じてしまうのも自然坊窯の朝鮮唐津の特徴です。
個性、色彩共に他では見られない中川自然坊窯の朝鮮唐津をどうぞ心行くまでお楽しみください。