先人たちが材料の手に入る場所でその材料に合わせた焼き物作りをしたことで、産地ごとの特色が生まれたように、この自家製粘土に合わせて作陶するため、自ずと自然坊窯らしい厚みとシンプルな形状に落ち着きました。
また作品の仕上がりに影響する部分は出来るかぎり手作業としており、作品にも片影されていることと存じます。大量生産の産地においては、分業制で多数の職人により効率的に同等品が制作されますが、唐津は作家が一貫してすべての仕事を手掛ける故の個性、素材へのこだわりに重きを置いています。そのような作家が作った作品は、一点物でなくとも、たとえ数物の食器であっても同じものは一つとしてありません。